ドキドキしすぎて死んじゃうとこだった…。
「向こうに流れるプールあんじゃん」
流れるプール?
ホテルのプール設備に、流れるプールがあるの!?
「行きたい!」
「じゃあ行くか」
やったー!!
私好きなんだよね、流れるプール!
「人いすぎだろ」
うん、そうだね。
「水の流れが速ぇな…」
うん、結構流されてるよね。
あのね、そんなことよりね、燈弥…。
「私を死なせる気ですか!?」
「は?」
だってだって!
さっきのスライダーの時みたいな体制になってるよ!
なんで私、後ろから抱きしめられてるの!?
「と、燈弥!は、離して…?」
「ダメ。お前すぐどっか行くし」
あぁ、私の迷子対策だったんだね。
分かってた。
分かってましたよ、深い意味はないことくらい…。
でもダメ!心臓持たない!!
「私ちょっと…」
「ばっ……まりあ!」
え?
ドン!
「きゃっ!」
私が燈弥の腕から離れた瞬間、誰かとぶつかってしまった。
さっきの可愛らしい悲鳴は私じゃない。
そのぶつかってしまった人の声だ。
「あ…ごめんなさ……」
「すみません、大丈夫ですか?」
燈弥がすぐに私の隣に来て、女の人に謝った。
「大丈夫ですよ、ちょっと当たっただけですから」
女の人はニコッと優しく笑って、彼氏であろう男の人と一緒に泳いで行った。
私…バカだ。
燈弥にまた面倒かけちゃった…。
じわっと涙が滲んできた時、燈弥が私の手を引っ張り、プールサイドに連れ出した。
一目があまりつかない場所に来ると、燈弥が私を優しく抱きしめてきたんだ。
ショックでぼーっとしていた私は、驚いて我に返った。
「と、燈弥?」
「んな落ち込まなくてもいい。あの人も大丈夫だって言ってたんだから」
え…。
「せっかく来てんだから楽しめ。な?」
抱きしめられたままポンポンと頭を撫でられた瞬間、私の涙腺は崩壊。
「ごめんなさ…ごめんなさい…!」
「人にぶつかったくらいで泣くなよ」
だって、だって燈弥が…。
「好きー!大好きー!」
優しい燈弥が好き。
包み込んでくれる温かさが好き。
あぁ、もう…。
ホントに大好きだ。
私は今、どれくらい燈弥にちかづけてるのかな。



