私はゆっくりチャックを下ろしてパーカーを脱いだ。
いきなり肌が空気に触れて、少し肌寒い。
「も、もういいよ…」
ど、どうしよう。
なんか緊張してドキドキが止まらない。
私の方に振り向いた燈弥を恥ずかしさで見れなくて、私は顔を下に向けた。
ギュッと目を閉じて反応を待ったけれど、燈弥からの言葉がない。
あれ…?
不思議に思って顔をあげると、燈弥の驚いたような顔が目に入った。
「燈弥?どうし…へっ!?」
燈弥に近づいた瞬間、グンっと腕を引っ張られてた。
なに!?
「ちょ、燈弥!?…ひゃあっ!?」
バシャンと水音がなって、気づいたら私はプールの中にいた。
あっという間すぎて、何が起きたのか分からなかった。
「ぷはっ……けほ…燈弥?」
「…………だろ」
え?
なんて言ったの?
「燈弥?」
「……可愛いすぎんだろ、お前」
っ!!?
え…。
えぇえ!?
い、今燈弥が可愛いって……。
可愛いって…!
「あんま他の男に見せんな。またナンパされんだろ」
これは、夢?
私、幸せすぎて、どうにかなっちゃうよ……。
「うん…。ありがと」
そっと後ろから燈弥の指先に触れると、キュッと私の手を握ってくれたことが嬉しくて、ドキドキして…。
燈弥の大きくて優しい背中を見ながら、私は笑みを抑えることができなかったんだ。



