だからこそ、考えてしまう。 あの人の存在を……。 「ねぇ、燈弥……」 「なに」 あの人は、誰……? 「……なんでもない」 聞けない。 怖かった。 あの人は、俺の好きな人だよって。 彼女なんだって、言われるのが怖かった……。 逃げたんだ。 だって、私はまだ……燈弥の側にいたいんだもんっ……。 一番近くに居たかった……。 だから、逃げた。 こんな私は、醜くてっ……。 卑怯者だっ……。