「燈弥ー!頭くしゃくしゃになっちゃうよー」



「あ、悪ぃ」




俺が手を離すと、まりあは「もぉー……」と困ったように乱れた髪を手で整えた。


そんなまりあに、圭吾が心配そうな顔で言う。



「まりあちゃん、そろそろ戻った方がいいかも」


「え?」


「そろそろ他の奴らが戻ってくるから。また囲まれたりしたら大変だからね」



圭吾の言葉に納得したまりあは、少し寂しそうに笑って戻って行った。



……あとで何か買ってやろうか。マジで助かったし。



教室に小走りで戻っていくまりあの背中を見送ってから、これから地獄の授業が始まる教室に入った。