コツンと、燈弥の肩に頭を乗せてみる。



いつもなら、すぐに離れろって言ってくるのに、今日は何も言ってこない。


黙々と気にする様子もなく、燈弥は雑誌を読んでいる。




それがなんだか嬉しくて。




「燈弥ー」

「……なに」

「好き」

「知ってる」



あっさりかわされちゃった……。



ホントに好きなんだよって、伝わってるのかな……。




私は横から燈弥に抱きついた。



「大好き」



ぎゅっと力を込めて抱きついた時。



グイッと引っ張られて、気づいたら燈弥の腕の中にいて、抱きしめられている状態だった。



え?え?
えぇえーーっ!!?




私は驚きのあまりに硬直したままで、胸がドクン、ドクンと激しく音を立てた。




「ああああの!燈弥さん!?」

「ははっ、なんでさん付けなんだよ?」




だって、だって!
抱きしめられるなんて初めてなんだもん!!



私があわあわしていると、燈弥は私の耳元で小さく囁いた。



「……まりあ、もう少しだけ待っててくれるか?」


「え……?」



待っててって……。

それは、どういう意味……?




「と、燈……弥?」


「返事は?」



何を待っていればいいのかは分からなかったけれど……。



燈弥が待っててって言ったから、待ってるよ。



「うん……ずっと待ってる」

「ん。サンキュ」



この日、燈弥との距離がすごく近づいた気がした。