「ゼーゼー…アイツ、マジ足早すぎだろ…」



が、意外にも脚の速い龍樹を捕まえるどころか見失って、早15分。



立ち止まったアタシは、ゼーゼーと息を切らしながらその場にしゃがみ込んだ。



「クソッ!アイツ、どこ行きやがった!ぜってーシメてやる…しかしあっちーなぁ……あ?」



でもうっすらと額に滲む汗を拭いながらそんな物騒なことを呟いたと同時に、ふいに出来た影に顔を上げれば、目の前には会いたくて会いたくて堪らなかった、アタシのメガネヤローの笑顔。



「せーりーなーサン?」



「テメッ!」



「もう、おしまいですか?意外と持久力ないんですね!」



「うっ、うっせぇ!ってか、カバン返せ!コノヤロー!」



「はいはい。」



ガバッと立ち上がり、とりあえずカバンをひったくったアタシは、ケラケラ笑う龍樹の脛をゲシゲシ蹴りまくると、カバンを胸に抱きながらプイッとそっぽを向いた。