「それ!わたしの!」



そのシャーペンとは、
小花柄で華奢なボディがわたしの
てのひらによくフィットする
お気に入りのシャーペン。



その上、去年の誕生日に
親友の綾花からもらったものでもあったので、ずっと大事に使っていたのだった。




「やっぱりこれお前のかぁ。どっかでみたことあると思ったんだよな~…そしたらこれ、去年綾花が必死に悩んで選んでたやつだったって、さっき思い出した」


 
ちくっと胸が痛んだ。 
 

そのシャーペンを見る先生の目が
明らかにわたしや他の人を見る目とは
違って見えたから。

あれは、愛おしむ優しい瞳だった。





それに…

「綾花」

彼女の名前を呼ぶ先生は
わたしのことは決して名前で
呼んではくれない。






先生には「綾花」という彼女がいる。

綾花は先生の彼女であり
わたしの、親友だ。