「忘れ物、取りにきただけです」 「忘れ物?」 わたしの言葉をきいて、 先生はしばらく考え込む仕草をしてから 「あぁ!」と、何かひらめいたよう 声を上げた。 そして、ポケットをまさぐり あるものを取り出す。 「これか?」 先生の手には、まさにわたしの忘れ物の シャーペンが握られていた。