こっち向いて、早瀬先生。


こんなときでも頭に浮かぶのは
先生のこと。



そういえば、話聞いてくれるって
言ってたのにな…


帰ってきちゃったよ……




本年は話を聞いてもらうことなんか
どうでもよくて、
ただ、先生に会いたかった。


それだけだった。





窓の外を眺めると
月の光が優しくて
切なくなった。



自然とため息が零れる。




そのときだった。






♪~~♪~~~



携帯の着信音が
真っ暗な部屋にこだました。

静かな空間の中で聞こえる
バラード系の音楽は
雰囲気があって極上だった。




携帯を見て、着信の相手を
確認すると、先ほどの
知らない番号だった。



誰だろう………




普段ならば無視をしてしまう
その電話を、なぜかわたしは
受けてしまった。