「大丈夫です。先生に心配されるほどのことでもありませんから」


自分なんて冷たいことを…!
せっかく先生が心配してくれてるのに…



「そうか?ならいーけど。まぁ、無理すんな!これ、やるから」



先生はジャケットのポケットを
ごそごそとしてから
ひとつのあめ玉を取り出した。



白地に淡い桜色のドット柄の包みの
小さくて甘いお菓子は
先生の大きな手によって
わたしの手のひらへとのせられた。



「これうまいんだぞー!元気だせ!俺がついてるから」



先生はまたにかっと笑った。



その笑顔に、ついつい気が緩んで
涙がすぐそこまで押し寄せてくる。