「そうだよ。…なんで?」 なんでなんて、本当は 訊くまでもない。 「えっ…いや、実はね……」 頬を朱色に染めて、綾花は うつむきながら口ごもる。 しばらくして、ついに口を開くと 「あたし、あの先生好きになっちゃった」 と、うっとりとした声で はっきりと言った。 『好きになっちゃった』 と。