「えっ、まぁ…」 


ぶっきらぼうに返事を返すわたし。
この時点でわたしはすでに
先生のことが好きだった。


いつも冷たい態度のわたしでも
先生はほかの生徒と差別することなく
接してくれていて、それが
とてつもなく嬉しくて
ほんのささいなことだけど
わたしにとってそれは
何よりも価値のあることだった。



「今日の授業はなんだった?」
「お昼は何食べた?」
など、他愛もない言葉を二度三度交わした後に先生は、



わたしの後ろに立ってる綾花に
「ひよこの友達?」と、爽やかな笑顔で尋ねた。




わたしが振り返って綾花を見ると
うつむきがちに「はい」と、
小さく呟いていていて。



その頬がりんごみたいに真っ赤だったことを、わたしは見逃さなかった。