こっち向いて、早瀬先生。




「まだ、帰るなよ~。仕事残ってるんだから」



そう言って先生は
手元にあった書類を
ぴらぴらとなびかせた。



「……明日じゃ…」

「だーめ。今日までなんだよ、これ」


先生のレンズの奥の瞳が
いたずらっ子のように
きらきらと輝いていた。



あぁ~…わざとだ、先生。



「分かりました」



渋々引き受けたわたしは
パソコンの前に座って
電源ボタンをプッシュした。