俺は階段を駆け上がり、少し錆び付いたドアを開けた。


水色のブックカバーをした本を片手にフェンスにもたれかかっている女の子がいた。


女の子は俺に気付いたらしく、モンブランみたいな色の髪を揺らしながら俺を真っ直ぐと見た。


イチゴのキャンディみたいな唇を開き楽しそうに、フェンスにもたれかかった女の子は言った。



「零也くん、こんにちは。また会ったね」


俺は鼻を鳴らした。


白々しいにもほどがある。


なぁーにが「また会ったね」だ。


お前が来いって言ったんだろうが。