君色【完】









人通りの少ない場所で、拓人の声が響き渡る。





「なんとなく、そうじゃないかなって思ってた」

「...」

「って思ったのも、つい最近だけどな」



ははっと笑う拓人。




「どうして...」

「...初めに気づいたのは、絵梨が颯太にされたってとき」

「......」

「...いつもは、俺が抱きしめたらまわしてくれる腕がさ...まわしてくれなかった」

「......」