仕方ない。諦めよう。
ふぅと小さく息を吐いたとき、目の前に飲み物のページが開かれたメニューが現れた。
「!」
「ほら、さきこは何飲む? とりあえずビールか?」
「あ、はい! もちろん! ……と思いましたけど、今日は……ゆずジュースで」
「あれ、ノンアルでいいの?」
「梢ちゃんとお近づきになりたいので! 佐山さん、いいですか!?」
「あぁ、お好きなように」
「ありがとうございますっ」
許可が出たのが嬉しくて、ついむふふと笑ってしまう。
「……へぇ。さきこって意外と……」
「へ!?」
後頭部にぽんっと触れたものは、紛れもなく先輩の大きな手。
慌てて先輩のことを振り向いた時には、先輩はメニューに目線を落としていて、何の反応もできなかった。
……先輩の横顔も、すごく好きだ……。
そう思いながら、ただ顔が熱くなって、心臓の鼓動だけが速くなっていくのを感じていた。

