モノクロ

 



「へ?」


予想すらしなかった場所に連れてこられた私は、つい変な声を出してしまった。

だって、佐山さんが足を止めたのは──。


「居酒屋さん……ですか?」

「遊園地に見えるか?」

「や、そういう意味じゃ」

「ここが紛れもなく、目的地だ」

「……もしかして、居酒屋さんに併設した雑貨屋さんがある、とかです?」


それはそれで面白いかもしれない。むしろ好きなもの尽くしで最高だ。

……なんてことを本気で思ってしまう私は、食べることと雑貨が相当好きなんだと思う。

そのうちマンガ好きすら越えちゃうんじゃないだろうか、と思ってしまうくらいに。

真剣に考えていた私のことを、ちょっぴり呆れたような目で佐山さんが見てくる。


「……そんなわけないだろ」

「あはっ、そうですよね~。……って、あ! もしかして、今日付き合ってやったんだから、飯くらい奢れよ!的な感じです!?」

「それでもいいけど、いいのか?」

「うっ……よ、喜んで奢らせていただきますとも! 勉強になりましたから!」

「ふ。本当に佐々木さんは素直だな」

「……それは誉めてくれてます?」

「めいっぱい誉めてる」

「ですか。じゃあ、ありがたく受け取っておきます。ハイ。」


要するに“単純”だって言われてるってことだし納得はいかないけど、否定もできない。

どう考えても、私は“単純”な人間の部類だから。

少し優しくされただけで人を好きになっちゃうような。