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「すっごく楽しかったです! あんなにたくさんの生地を見たの、初めてです!」
「生地は雑貨の基本だからな。ネットやカタログで見るのと実物を触って見るのとじゃ全然違うし、一度佐々木さんにもちゃんと見せておいた方がいいと思ってたんだ」
「え、じゃあ、今日は私のためにですか?」
「半分は。半分は俺の企画のためだ」
「十分嬉しいです!」
昨日の雨がウソのように晴れた、土曜日。
私が佐山さんに連れられて行った場所は大きな手芸屋さんだった。
いろんな生地を見たけど、ブックカバーにしたら良さそうなものがたくさんあった。
布と言っても、手触りのやわらかいものから、かっちりとした厚手のものまであったり、ラミネート生地でも表面のツルツル感や触り心地が違うものもあったり。
見ているだけで本当に楽しくて。
紙に貼って防水加工できるようなキットもあったから、布だけではなく加工した紙をブックカバーの素材に使うのもいいかもしれない。
たくさんの生地や素材を見れて楽しかった反面、優柔不断なところがある私には、あんなにたくさん目の前にあるとひとつには絞れないなんて思ったりもして。
でも人によっては、あれこれ組み合わせて自分の好みに合ったブックカバーを作りたいと思う人もいるかもしれない。
私だったら、こんな組み合わせはどうですか、と提案してもらう方が選びやすいけれど……。
「……そっか。インターネット上でいろんな生地を組み合わせることができるページとかがあったらいいかも……。好きな色を入れたら組み合わせのパターンが出てくるとか!」
「ん?」
「ほらっ、よく自分の顔写真に洋服を合わせて遊ぶゲームとかあるじゃないですか? 着せ替え的な。あの要領で生地の組み合わせをインターネット上でできるようにするんです。出来上がりのイメージが見れれば、実際に手に取った時にイメージと違っていてガッカリする、なんてことも少なくなりそうじゃないですか?」
「……なるほど。それは面白いな」
「ものづくりも流行ってるし、人気出そうな気がします!」
「そうだな。その辺りも含めて企画書を書き直してみたらどうだ? たぶん簡単にはいかないだろうし、前例がない分実現も難しいかもしれないけど、案としては目を引くと思う」
「はい! 実現可能かも含めて考えてみます」

