モノクロ

 



それからはひたすら時間を見つけては、企画書を作成する時間にあてていた。

ネットや資料を調べ、自分のやりたいことが既存のものではないか、実現可能なのかなどを検討しながら、企画書を練り上げていく毎日。

先輩に近付くためにだなんて動機が不純すぎるのはわかっているけど、ヤル気に繋がっているのは間違いなかった。

先輩にもらったイチゴミルクの飴玉は机の上に置いていて、挫けそうになった時はそれを見るようにしていた。

まるで先輩に見守ってもらってるみたいだから。

……相変わらず、めちゃくちゃ痛い私だ。


そして今日も私は一人、オフィスに残ってパソコンに向かっている。

ふとキーボードを叩く手を止め、目線をずらす。

そこに堂々と存在するものは。


「シュテファン王子っ! 私頑張るからねっ」


飴玉の横に置いている大好きなアニメのヒーロー、シュテファン王子のフィギュアに決意をぶつける。

小さな姫を守るために武装して戦うシュテファン王子。

女子ならきっと誰もが憧れるような、大切な人を命がけで守ってくれるヒーローなんだ。

ちょっぴり意地悪なところがまた魅力的で。

マンガやアニメが好きなのは今も変わっていないけど、私の頭の中を占める割合はだいぶ減った気がする。

前までの私は早く家に帰ってマンガを読むために仕事を終わらせたいと奮闘していたけれど、今は先輩に近付きたいと頑張っているのだ。

何年も続いてきた日常を変えてしまう“恋”って偉大。

よし!と、再びパソコンに向かって、私はキーボードを叩き始めた。