「エレベーター行っちゃったな」
「あっ、ですね」
「上でいいんだよな?」
「はい」
「ん」
先輩の手がエレベーターのボタンを押す。
その時、屈んだ先輩の髪の毛が私の額に触れた。
「!」
香水ほど強い香りではないけど、先輩からほんのりいい香りがしてドキリと心臓が音をたてた。
わ、何か、これヤバい……!
「あ、そうだ」
「え?」
先輩がスーツのポケットに手を突っ込み、ごそごそと探る。
何だろうと見ていると、出てきた手には飴玉が掴まれていた。
飴玉が私の目の前に差し出される。
「はい、お駄賃の飴ちゃん。」
「!」
「ん? 甘いもの嫌い?」
「いえっ、大好きです!」
「良かった。じゃあ、はい」
「ありがとうございます」
「ん」
手をそろりと差し出すと、手のひらの上に飴玉を置いてくれる先輩の手が私の手にチョンと当たり、電気が走ったように私の身体はびくんっと震えてしまった。

