モノクロ

 



「……お疲れさまです~」


私は緊張しながら、そっと営業部のオフィスに入り込む。

先週は廊下までは来たけど、営業部のオフィス内に入るのは入社してから初めてだ。

さすが営業部。社員は出払っているようで、オフィス内はガラリとしていた。

紀村先輩は、っと……。

部屋の中を見渡すけど……先輩の姿はなし。

あれれ、いないのかな?


「お疲れさまです。誰かお探しですか?」

「っ!」


私に声を掛けてきたのは、綺麗な女の人。

スーツを来ていないから営業事務の人かもしれない。

悪いことをしていたわけではないのに、何故か私は慌ててしまった。


「あのっ、き、紀村さんはいらっしゃいますか? 渡したいものがあって」

「紀村さんは……あれ、ついさっきまでいたんですけど、いないですね……。それ、渡しておけばいいですか?」

「あっ、はい! お願いします! 企画部の佐山さんからです」

「わかりました。渡しておきますね!」

「ありがとうございます」


女の人は明るい笑顔を浮かべて封筒を受け取ってくれる。

癒しオーラがある人だなぁと思いながら私はぺこっと頭を下げ、オフィスから廊下に出た。