モノクロ

 

嬉しさのあまり、喜びを言葉に表せなかった私に、佐山さんが首を傾げる。


「行きたくないのか? それなら自分で行くけど」

「いえっ、喜んでパシらせていただきますっ」

「パシりじゃない。お使いだ」

「はーい! で、誰に持っていけばいいんですか?」

「もちろん、紀村だ」

「……えぇっ!?」


ごごごご本人ですか……!?

パクパクと口を動かしていると、佐山さんの手が伸びてきて、私の手の中にある封筒をすっと掴もうとする。


「嫌なら」


佐山さんがそう言って封筒に触れようとした瞬間、私は慌ててその手から逃げる。


「全っ然、嫌じゃありません! 喜んで行ってきます!」

「そう? じゃあ、よろしく。今日は内勤の予定になってたから、営業部にいると思う」

「はい!」


佐山さんはひらひらと私に手を振ってすぐにパソコンに向かい、またお仕事モードになってしまった。

その鮮やかさに、さすが切り替え王子だと思った。

そして、ナイスアシスト王子!

っていうか、5日ぶりに紀村先輩に会えるかもしれないんだ……!

ヤバい、ドキドキする!