「何?」
「いえっ、……この前残業してたら紀村さんが企画部にいらっしゃって、ちょっとお話したんです」
すでに二人で飲みに行ったりもしてますけども……。
「へぇ。そうだったんだな。あいつ、フレンドリーだったろ?」
「あ、そうですね」
「あいつ、誰に対しても壁作らないんだよな。人懐っこくて営業マンの鑑というか。女にもモテるみたいだし。佐々木さんもそれに引き込まれた口か」
「! そ、そういうんじゃないですけど、やっぱり紀村さんってモテるんですね。もしかしたらそうかな、って思ってたんです」
「人伝に聞いたことだけど、学生の頃から彼女はほとんど切らしたことはないって話だ。具体的なことはわからないが、学生の頃はちょこちょこ彼女が変わってたとか言ってたな」
「そう、なんですか……」
ちょこちょこ彼女が変わってたって……取っ替え引っ替えってこと?
女に慣れてそうだと感じたのも、そういうことだったのだろうか。
そんなの幻滅……できない私がいる。
マンガの中なら「女を取っ替え引っ替えするような男、やめとけばいいのに! 悪い男に捕まっちゃダメだよ!」と言っちゃいそうなレベルなのに。
私って好きになった人はどんな人でもOK!っていうタイプだったのかな……。
ふとよぎったのは、友達からの「明希って悪い男に捕まりそうよね~!」という言葉だった。
あの時は「そんなことないもん!」と言って笑い飛ばしたけど、実際はそうだったりするのかもしれない……。
「あいつ、1年くらい前までは総務部の三神さん付き合ってたんだよ。三神さんも俺たちの同期でさ。入社してから付き合ってたから期間も長かったし、同期で集まれば“結婚も近いかもな”って話したこともあったけど、いつの間にか別れてたな」
「三神さん、って……」
たまに総務からのお届けものを持ってきてくれる綺麗な人だよね……。
あんな素敵な人と先輩が付き合ってた?
それに、結婚も近かった、だなんて。
年齢的にも当たり前のことなのに、先輩に結婚を考えるような相手がいたと知ると、私はショックを受けてしまった。

