モノクロ

 

先輩、何か様子おかしくない……? 酔ってるからかな……?

むくりと先輩が顔を上げ、私の顔を上目遣いでじっと見つめてくる。

そして、にやっと笑った。

──うっ!


「さきこは? 男、いねぇの?」

「えっ?」

「俺だけ言わされるとかズルいだろ?」

「っ!」

「教えなさい。先輩めーれーです!」


ビシッと指を指され、私は諦めて答える。


「……しばらくいないです、ね。はい」


26年生きてきて、彼氏がいたことがあるのは高校生の時に一度だけ。

ふわっと流れで付き合うようになったけど、ほとんど何もなく終わってしまった恋だった。


「ふぅん。じゃあ、好きな男は」

「ふへっ!?」

「へぇ~。その反応は、いるんだな?」


にやにやと楽しそうに笑いながら、先輩の顔が少しずつ近付いてくる。

それとともに私も可能なだけ体を後ろに引いていく。

ぐ……っ、さっきの反撃されてるんだ……!