「……彼女? 彼女ねぇ……」
「……」
「……しばらくいねぇな。うん」
「そう、なんですね」
第一関門、突破……!
先輩への気持ちを抑えなくてもいいというそれだけで、ガッツポーズをしたい気持ちに駆られるけど、それのを抑えて私は平静を装う。
でも、先輩に彼女がいないことに対して意外だと思う気持ちも正直あった。
先輩のこの雰囲気なら、絶対にモテると思うから。
性格に難ありというわけでもないし、このノリはモテる条件に当てはまるはず。
ということは……。
「じゃあ……好きな人、とか」
恐る恐る、自分の首を絞めかねない質問を投げ掛ける。
「……んー、好きな女ねぇ」
「……?」
「……」
先輩が完全に黙ってしまい、目線を落とした。
……その無言は好きな人がいるってこと……?
そう思った時、くっ、と先輩が自嘲ぎみに笑った。
「……まったく、いないし! そんなもの!」
「あっ! 先輩っ!?」
慌てて手を伸ばしたけど止める暇もなく、先輩は私が飲んでいた梅酒を奪い取り、一気に喉に流し込んでしまった。
そしてグラスをトン!とテーブルの上に置いて先輩は俯き、くくっと笑った。

