「何でここに? 営業に用事?」
「あっ、あの」
先輩の秘密を見てしまった気分になってしまって、何か気まずく感じてしまう。
昨日初めて話したばかりなのに、「辛そうな顔してますけど何かあったんですか?」なんて図々しく聞けるわけはなくて。
それに、いざ先輩に会ってしまうと、何をどう言えばいいかわからなくなった。
あんなペラペラの紙切れ1枚を渡して、企画書を書く許可をもらったくらいでこんなに喜んでいるなんて、他の人にとってはバカみたいなことなんじゃない?
そう気付けば、心臓がどくんどくんとうるさく鳴り響き始めた。
言葉が出ない。
「……」
「ん? 何?」
「……あっ、あの、大したことではないんですけど……」
「うん」
不安はあるけど……先輩は聞いてくれるかな?
私の小さな一歩の話を。
私は意を決して、口を開く。
「昨日、話してたことなんですけど」
「あぁ、うん。どうかした?」
「ブックカバーの意見を部長に出してみたんです。そしたら、ちゃんと企画書として提出するように、って言われて」
「マジで? 佐々木さん、良かったじゃん!」
「!!」
まるで自分のことのように嬉しそうに喜んで笑ってくれる先輩。
こんなに小さなことなのに、そんな風に言ってくれるの……?
先輩の手が私の頭を荒く撫でてくる。
その姿と行動は私の鼓動を速くして、目頭までをも熱くした。

