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「部長。昨日依頼された資料、まとめておきました。共有フォルダにも上げてますので、確認お願いします」
「あぁ、ありがとう。さすが佐々木さん、仕事が早いな。助かるよ」
「いえ」
「うん。これで大丈夫だから、仕事戻ってもいいよ」
企画部部長の田仲さんは私が渡した資料をペラペラとめくりながら言う。
いつもなら私はすぐに自分のデスクに戻っていたと思う。
でも、今日は──。
私がその場に立ったままでいたのを部長は不思議に思ったようで、首を傾げた。
「佐々木さん、どうかしたのか? 何か話でもある?」
「……えっと……」
「ん?」
……迷っていた。
私の手の中にはもう一枚の資料がある。
これを渡すか、渡さないか。
渡さなければ今までと同じ日々が待っている。
渡せば……何かが変わる可能性がある。
正直、変化するのは、怖い。……でも。
『頑張れ』
紀村先輩に昨日言われた言葉が頭の中に響いた。

