モノクロ

 

──ピンッ!


「痛っ!?」

「ぶはっ」


変な期待をしてしまった私を襲ったのは、おでこへのぴりりとした刺激。

私は反射的におでこに手を当てた。


「何するんですかっ!」

「でこっぱちが目の前にあったらデコピンしたくなるだろ? ちょうどいい位置にあるし。くくっ。じゃあな」

「あっ、ちょっ……!」


あっという間に4階に到着していたエレベーターのドアは開き始めていて、紀村先輩が降りていく。

くくくっと笑いながら、ひらひらと手を振って。

私は先輩の後ろ姿を呆然と見送ることしかできない。

先輩の姿が見えなくなってエレベーターのドアが閉まり始めた時、紀村先輩の「おはようございまーす!」と挨拶する明るい声が聞こえてきた。

ぴしゃっとエレベーターのドアが閉まり、そこが私だけの空間になった。


「……く、くそ~っ、何か悔しいっ!」


口ではそんなことを言いながらも、私の顔はにやついていた。

心の中はすごく嬉しくて嬉しくて仕方がなかったから。

……痛いのが嬉しいMとかではなく!