「ふふっ、ごめんなさいね? 私も結構長く隼人と付き合ってたから、つい。私たちのことはもう聞いてるんでしょう?」
「あっ、いや、あの……っ」
「え? もしかして、聞いてなかった? やだ、ごめんなさい! 隼人ってそういうの全く隠さないし、てっきり言ってるものだと思ってたから」
三神さんは本当に慌てたような表情を浮かべて、口元を手で押さえた。
「ごめんなさい」と頭を下げてまでもう一度謝られて、逆に慌ててしまった私は手を横にぶんぶんと振った。
「いえ、そうじゃないんです。私と先輩は付き合ってるとかじゃないんです。普通の先輩後輩というだけで、そういうのは全くなくて……」
「え? そうなの?」
「は、はい……」
「そっかぁ……てっきり、もう……。そうなんだ……」
三神さんはホッとした表情を浮かべて考えるような仕草をした後、私の顔をじっと見てきた。
「!」
「じゃあ、遠慮することもないのね。話が早く終わりそうで助かったわ」
「え?」
にこっと三神さんが笑った。すごく綺麗で可愛い笑顔だった。
「私ね、今もまだ本気で隼人のことが好きなの。別れてからもずっと隼人のことだけを見てる。また付き合いたいと思ってるの」
「!」
「彼女ができたのならいい加減諦めないといけないな、なんて考えてたけど、そうじゃないなら何も問題ないものね。……私たちは嫌いで別れたわけでもないんだし」
「……」
「だから、隼人のこと諦めてくれないかしら?」
「!」
「付き合ってないとは言っても、あなたは隼人のことが好きなのよね?」
「っ!」
穏やかに笑ったまま、三神さんがそんなことを言ってきた。
会って間もない人に言われるってことは、私ってそんなにわかりやすいんだろうか……。
先輩にはバレてないよね……?
「ふふっ、バレてないと思ってたの? でもバレバレよ? あなた、すぐ顔に出るタイプみたいだから」
「う……っ」
くすくすと口元を女性らしく押さえて笑う三神さんに、私は何も言えない。

