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「あら、佐々木さんじゃない?」
「! 三神さん……!」
昼休み、久しぶりに外で一人ランチをしようと財布を握り締めて会社のロビーに出た時、ばったりと三神さんに会った。
三神さんは女の私でも見とれてしまうような綺麗な笑顔を浮かべている。
某ブランドの財布を持っていて、三神さんもお昼に行くようだ。
「お疲れさまです」
「お疲れさま。外でお昼するの?」
「あ、はい。テイクアウトのお弁当に飽きてきたので、たまには外で食べようかなと思って……」
「そうなの? じゃあ、一緒しない? 今日お弁当作れなかったから、何か買ってこようと思ったんだけど……佐々木さんともお話したいし。いいかしら?」
にこっと微笑みかけてきた三神さんの綺麗さに胸がドキッと音をたてる。
その瞬間、紀村先輩のニヤニヤした顔が頭の中に浮かんだ。
いや、私、ノーマルですから!……と頭の中の先輩に言っておく。
本当なら三神さんがまだ先輩のことを好きかもしれないと気付いた今、一応“ライバル”ってことになるし警戒するべきなのかもしれない。
でも、私の気持ちがバレている訳じゃないし、せっかく誘ってくれて断る理由もないから、ランチくらい大丈夫だよね?
私は頷く。
「はい。もちろん、大丈夫です」
「ほんと? 良かった。あまり遠いところもあれだし、そこのイタリアンでどう?」
「はい、大丈夫です! 私、ちょうどそこで食べようと思ってたので」
「じゃあ、決まりね。行きましょう」
「はっ、はいっ」
三神さんは私に向かってにっこりと微笑んだ後、くるっとスカートを翻し、カツンとヒールの音を立てて歩き出す。
企画部とは違って総務部には制服があり、そのまま外を歩いてもおかしくないスタイリッシュなデザインのものだ。
身体のラインが出てしまうその制服は私には似合わないとわかってはいても、憧れていたりする。
前から思っていたけど、すらりと身長が高くて身体のラインが綺麗な三神さんはその制服がとてもよく似合っている。
それに比べて、私は動きやすさだけを重視したカジュアルな格好にスニーカー。
女子力の差が明らかにありすぎる。
……三神さんって本当に綺麗な人。
先輩と同じで三神さんも笑顔で人を惹き付ける力を持っていると思うし、スタイルだって雰囲気だって素敵な女性だ。
二人が並んだら、最強のカップルだと誰もが思うだろう。
……って、また傷に塩を塗りこむようなことを私考えちゃってるし……。ほんと私ってバカだな……。
もやもやと考えながら、私は三神さんの後に続いて歩き出した。

