「!」
「ほんとにさ、さきこのお陰で元気出たよ。ありがとな」
先輩の優しい笑顔に胸がきゅんとして、とくんとくんと鼓動が速くなっていく。
顔が熱くなるのを誤魔化すように、私は首を横に振った。
「いっ、いえっ! 別に私は何もっ」
「さきこの才能だよな。周りを笑顔にさせるのって」
「……誉めても何も出ないですってば」
「うん。それでいいよ。さきこはそのままでいてくれたらいい」
「っ」
先輩にそんなことを言われるなんて思ってもみなくて、嬉しさで涙が出そうになる。
「あ。そろそろ上がらねぇとな。仕事始まる」
「あ、はい……っ」
「朝からガッツリ話し込んじゃったなー」
「そうですねっ! あははっ」
話しながら椅子から立ち上がって先に歩き出した先輩の後に続く。
私は平静を装うのに必死だった。
元気が出たってことは、やっぱり先輩は落ち込んでたってことで……あんな風に先輩を落ち込ませる原因は何だったんだろう?
仕事? それとも……もっと違うプライベートな何か?
三神さんとは普通に話してたから、三神さんが原因というわけではなさそうだけど……。
結局、何が先輩の気持ちを落ち込ませていたのかは聞くことはできないまま、私と先輩は社員がたくさん乗り込むエレベーターに押し込まれていく。
社員でひしめくエレベーターが上昇するのを感じながら、先輩の心が綺麗に晴れ渡りますように、と私は願っていた。

