モノクロ

 

「さきこ、ガン見しすぎじゃね?」

「え?」

「あ、もしかして……さきこって女に興味が」

「はいっ!? 何言ってるんですか!?」

「絢のこと、超見てたし」

「違います! 綺麗な人だなって羨望の目で見てたんです!」


「はいはい」と言いながらも、先輩はニヤニヤとしている。完全に面白がられている表情だ。

……あ、そういえば、三神さんっていつからの知り合いなんだろう?

今なら聞ける気がする。よし。


「先輩。三神さんって入社してから知り合ったんですか?」

「え? 何、急に」


どうしてそんなことを聞くんだ、と先輩が眉間に皺を寄せ首を傾げる。


「いや……あ、ほら、よくあるじゃないですか。昔からの知り合いが偶然同じ会社の同期だった、とか!」

「あー、なるほどな。絢と初めて会ったのは入社前の研修だけど、話すようになったのは入社してからかな」

「そう、なんですね……」


ってことは、少なくとも先輩が大学時代に好きだった人は、三神さんではないんだ。

疑問が振り出しに戻ってしまった気がする。


「何? そんなに気になるんだ? 俺と絢のこと」

「えっ!?」

「……本気なのか?」

「……っ」


先輩は急に真面目な顔になって、私に尋ねてくる。

そんな風に気持ちを訊かれるなんて思わなかったから、私は戸惑ってしまう。

……もしかして先輩、私の気持ちに気付いてるの?

前に先輩に告白してフラれたことがあるけど、それ以来隠してきていたつもりだったのに……。


「……あ、あの……」

「そっか」


ふ、と表情を緩ませて笑った先輩に、ドキンと心臓が跳ねる。