「先輩っ、やめてくださいっ」
「やだ。さきこの髪の毛触るの、猫触ってるみたいで超気持ちいいし。この質感、たまんねぇんだよなー」
「! いや、でも!」
三神さんの視線が痛いんです!
必死に先輩から逃げようと頑張っていると、三神さんがふっと笑ったのがわかった。
「……本当に仲いいわね。まるで兄妹みたいね」
「!」
「でも隼人、やめてあげたら? 嫌がってるじゃない?」
「佐山だけじゃなくて絢もさきこの味方かよ。俺の味方はどこにもいねぇな」
「った! 先輩っ!?」
先輩は唇を尖らせて拗ねた表情を浮かべて、私のおでこをぴんっとデコピンをしてきた。
突然の衝撃に私はおでこを手で押さえる。
「さきこだけずりぃよな~」
「そ、そんなっ」
「もう、隼人ってばすぐに拗ねる癖はいつまでも直らないのね。かわいいんだから。……あ、機嫌直すために、アレしなきゃね?」
「……?」
「……絢」
「ふふっ」
何のことだかわからない私は目をぱちくりとさせてしまうけど、少し困ったような笑みを浮かべる先輩と、嬉しそうな笑顔を浮かべた三神さんは、見つめあったままだ。
二人の間にはすごくいい雰囲気が漂う。
二人だけに通じることなんだ……。
……何か、やだ。胸、チクチクする……。
そう思った時。
「あっ、いたいた! 三神さーん! ちょっといい?」
「……はい。今行きます」
三神さんと同じように総務部の制服を来た女の人が三神さんを呼び、それに対して三神さんは綺麗な笑顔で振り向いた。
「じゃあ、隼人。また連絡するわね」
「あぁ」
三神さんはそう言い残し、少し早足で去っていった。
その後ろ姿も綺麗だった。
どこまでも綺麗な人。女の私でさえ、見とれてしまうくらいに。

