「隼人、今度は久しぶりに私とも食事に行きましょう? 最近はお互いに忙しかったし、ゆっくりご飯にも行けなかったじゃない? この間、隼人が好きそうな美味しいお料理のお店見つけたの」
「マジ? 絢が選ぶ店は当たりのところばかりだからな」
「じゃあ、決まりね」
三神さんの顔に嬉しそうな表情が浮かび、その表情に私はあることに気付いた。
……もしかして三神さん、今でも先輩のことを好きだったりする?
ふと浮かんだ予感に胸が小さく痛む。
先輩はどうなのかな……。三神さんのことを今も好きなんじゃないかって思ってたけど、雰囲気もいいしやっぱりそうなのかな……。
でも、先輩からふったって話だったよね?
もし今でもお互いに好き合ってるとしたら、何で別れることになったの?
しかも、別れたっていうのに普通にご飯に誘い合える仲だなんて……ちょっと変わってる気がする……。
「あ、さきこも行く? たらふく旨いもの食えるよ」
「えっ!? やっ、私は」
空気を全く読んでいない様子の先輩に向かって、「遠慮します!」と私は手を横に思いっきり振る。
いや、先輩、そこで私を誘っちゃいけませんって! 三神さんは先輩と二人でご飯に行きたいって言ってるんだから!
いくら先輩のことが好きだと思っていても、二人の間に割り込む勇気なんて微塵もない。
「あら、いいじゃない? 私は構わないわよ? 佐々木さんも一緒に行きましょう?」
「っ! いえ、私は……あっ、ほらっ、同期同士で積もる話もあるでしょうし、遠慮しておきます!」
「ぶっ、遠慮するような柄かよ。前、俺と佐山家に入り込んだのはどこの誰だよ」
「あれはっ、佐山さんが勝手に! 不可抗力ですしっ! っていうか、1年も前の話をほじくり返さないでくださいよ!」
「俺、まだ梢からの手紙、引きずってるんだからな。俺よりも梢と仲良くなるとか……もう、ショックでショックで、さきこが憎くてたまらない」
「それは梢ちゃんの心を掴んだもの勝ちですもんっ! 憎まれても困ります! もうっ」
「くくくっ。ほんと、おもしれー」
「ぎゃっ!」
急に伸びてきた先輩の手が私の頭をぐしゃぐしゃと荒く撫でた。
先輩に触れてもらえるのは嬉しいけど、先輩、空気読んでください!
私を見る三神さんの笑顔がすごく怖くて、泣きそうなんですけど!

