「さきこ、俺の妹にならねぇ?」
「へっ?」
「ほら、さきこが妹だったら家ん中明るくなりそうだし、仕事で疲れて帰ってきても疲れが吹っ飛びそうな気がするじゃん? ……なーんてな。くくっ」
「……」
妹……って、そっち?
くすくすと笑う先輩を見つめる。
“妹だったら”なんて仮定、全然嬉しくないよ。
確かに先輩のそばにいたいっていう気持ちはあるけど、先輩の妹みたいな存在としてそばにいたいわけじゃない……。
私はむぅと唇を尖らせる。
「私、先輩の妹になんて、なりたくないですっ」
「え?」
「だって、先輩、意地悪ですもん! 確かに小さい頃はお兄ちゃんに憧れてましたけど、どうせなら優しいお兄ちゃんが欲しいです!」
「……くくっ、俺だって十分優しいだろー?」
「優しいなら……あっ、ジュース奢ってくれますよね? 私、コーンポタージュが飲みたいの~。お兄ちゃん、買ってぇ~?」
私は先輩の隣にちょこんと座り、お願いポーズをして上目遣いで言うと、先輩が不服な表情をした。
そして、前髪をポンパドールにしていてでこっぱちになっている私のおでこを、人差し指でつんっとつつく。
「いたっ! ちょっと、何するんですかっ!?」
「それは優しさじゃなくて、ただのたかりだろ? そんな妹なら、いらねー」
「あっ、ほら~優しくないじゃないですかっ! やっぱり先輩をお兄ちゃんにはしてあげません! どうしても!って頼んでくるなら、考えるだけ考えてあげてもいいですけどね!」
「……ぶっ。ほんと、さきこには敵わねぇな~」
目尻を下げてくすくすと笑う先輩の笑顔にホッとしながら、私は唇を尖らせて拗ねた真似をする。
「……それって誉めてくれてます?」
「誉めてる誉めてる。」
「なら、いいですっ」
いひっと笑うと、先輩もいつもと同じように明るい笑顔を向けてくれる。
太陽みたいな笑顔に心が温かくなっていくのを感じる。
“妹”扱いは嫌だけど、今は先輩の笑顔をそばで見れるだけで幸せだ。

