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ある月曜日の朝、コーンポタージュが飲みたくなって会社の1階にある自動販売機に行くと、その近くにある椅子に座っている先輩を発見した。
まるでご主人様を見つけたワンコのように、私のテンションは一気に上がる。
実はずっと、ブックカバー企画が実際に動き出したことを先輩に話したいと思っていたけど、普段はなかなか会う機会もなく。
企画が動き出すことは営業である先輩も知っているはずだけど、やっぱりこの興奮を直接伝えたかったんだ。
距離がまだあるというのに、その勢いのまま私は先輩に向かって手をぶんぶんと振り、先輩を呼ぶ。
「先輩~っ! おはようございますっ」
「……」
「?」
いつもだったら何かしら反応してくれるのに、先輩からは返事が返ってこない。
……というか、ピクリとも動かない先輩の様子を見ると、私の存在にさえ気付いていないようだ。
距離と声の大きさ的には声は届いているはずなのに。
私は先輩との距離を詰め、椅子に座る先輩の顔をひょこっと覗き込む。
「先輩っ」
「わ! ……何だ、さきこか」
「おはようございますっ」
「あぁ、うん。おはよ」
にっと笑ってくれたけど、すぐに目を伏せてしまった先輩の表情が何だか暗く見えた。
眠いから、ってわけでもなさそうだ。
「? どうかしましたか? 何か元気ないですね?」
「……そう? いつも通りだと思うけど? 朝だし、こんなもんだろー?」
「……」
先輩は目を伏せたまま、いひっと口元だけ笑みを作ってそう言った。

