モノクロ

 

「リーダーが佐山さんで良かったです」

「……」

「ものを作るって一人じゃできないってことは知ってるし、今、私がリーダーに立ったところで、絶対にうまくいかないこともわかってます。それに、佐山さんはアドバイスをしてくれた上に、休日を使ってまで材料を見に連れて行ってくれて。
佐山さんが上に立ってくれれば、私の理想に近いものを作れると思います。私はそのチームに入らせてもらって、少しでもブックカバーを作るのに貢献できれば、それだけで満足です」

「うん」

「それに、少しずつでも経験を積んでいけば、いつかは自分の企画を自分で作り上げるチャンスが来る可能性だってあるってことだし、今は任された仕事を一生懸命やり遂げます。うまくいけばインターネット対応の時は私に任せてもらえる可能性だってありますよね」

「あぁ、もちろん。その通りだ。その前向きさがあってこその佐々木さんだな。一緒にいいもの作ろうな」

「はい! ご指導のほど、よろしくお願いします!」

「了解。でも覚悟はしておけよ。ビシバシやるからな?」

「う……っ、は、はいっ」


くくくっと佐山さんと顔を合わせて笑い合った。




──次の日から、企画を実際に進めていくため、他部署の人間や社長などの重役が集まって行われるプレゼンテーションの準備が始まった。

基本的には私が調べてきた内容を元にスライドショーを作成していく流れだけど、それでもまだ質問対策など準備が足りない部分を埋めていくために、佐山さんに指示されながら調査に加わった。

そしてプレゼンテーションまで終わり企画は無事に可決され、具体的な作業のスタートが切られた。


一番最初のブックカバー企画ミーティングでは、具体的に作業を進めていくための担当割り振りが行われ、私はデザイン担当を任された。

「佐々木さんが書かなければ、何でも好きなように纏めていいから」と笑いながら念を押されたけど。

その後、私は後輩に引き継ぎをしつつ、次の企画ミーティングに備えるために雑誌やネット、資料を手当たり次第見てデザイナー候補を探してみたり、企画部の先輩に情報を聞いたりしながら、デザイン周りの資料を作成していく作業に取り掛かった。

資料の中にはブックカバーに使ったら絶対にいいものができる!と自信を持って言える、大好きなイラストレーターさんを候補に上げてみたりもしていて、その作業は今までやってきていた作業に比べて、数倍も楽しい。

まだまだスタートを切ったばかりだし形ができているわけじゃないけど、作業をひとつひとつ進めていくごとに、わくわくした気持ちも高まっていく。

もちろんもっと作業が進んでいけば楽しいことだけじゃなくて、大変な作業もたくさんあるんだと思う。

社外の人と関わる仕事になれば、特に。

実際にデザイナーさんに依頼したり、話し合っていく作業は大変なんだろうなと思う。

あの佐山さんでさえ、いつも大変そうだから。

そう思うと、今からすでに大きな不安が襲い掛かってくるけど、そんな後ろ向きなことを考えていても何も進まない。

今はとにかく私のできることをして、前に進むだけだ。