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外はどんよりと暗い雲がかかっていて、朝からずっとしとしとと雨が降っている。
そんな日の午後、私は企画部部長に呼ばれた。
にっこりと笑った部長の顔を見ながら、私は聞き返す。
「え? 今、なんて」
「だから、この企画を進めようと思っているんだ」
「……えっ!?」
目の前に掲げられている資料は、1年近く前に私が提出したブックカバーの企画書だった。
この企画を……進める!?
「ほ、本当ですか……?」
「あぁ。もう少しで今やってる企画の山も乗り越えるし、それが終わり次第スタートさせてもいいかなと思ってな」
「っ、嬉しいです!」
拙いながらも一生懸命考えて、佐山さんにも意見をたくさんもらって書いた企画書。
それが実際に形になるためのスタートを切ろうとしているなんて、嬉しくないわけがない。
高揚する気持ちを抑え切れなくて、顔がにやけてしまうのを感じる。
「……ただ、ふたつ、受け入れてもらいたいことがあるんだ」
「え?」
「まずひとつめなんだけど、今回は佐々木さんメインで動いてもらうのは厳しいと思う」
「! ……どういうこと、ですか?」
「佐々木さんは全く経験がないだろ? 何もかもが初めてなのに、全てを任せることはできないんだ」
確かに、経験は全くない。
実際動いている企画のチームにも入ったことはないし……。
大変なことだとわかるけど、本音は自分が中心になって企画を進めていきたいって気持ちが強い。
企画書を書いたのは私だし、すごくたくさん調べて書いたのもあって思い入れが強いから。

