モノクロ

 

「私、仕事に戻りますっ」

「相変わらず残業ばっかしてんの? 俺が来る時、いっつも残ってんじゃん」

「後輩のお世話任せられちゃってて仕事が進まないんですもん。下の子が育つまでだし、少しの辛抱です」

「ふぅん。つーか、さきこが先輩で大丈夫なのか?」

「あっ! 先輩、酷いっ!! すっごい慕ってくれてるんですよー! ピチピチの23歳の男の子に!!」

「……あっそ」

「ひゃわっ!?」


先輩が立ち上がる気配がしたかと思えば、わしゃわしゃと頭を撫でられる。


「ま、あんまり無理はすんなよ。あと、ピチピチの後輩に“貞操はしっかり守れ”っつっといて。さきこに喰われねぇようになって」

「はぁっ!?」

「くくっ。じゃ、俺帰るな」

「先輩っ!?」

「冗談だって。とにかく、さきこ、ほんと無理すんなよ。帰り、気をつけて帰れよ」

「……はーい」


「よろしい。じゃあな」と笑顔を私に向けてオフィスを出て行く先輩の後姿を見ながら、撫でられて乱れた髪の毛を整える。

先輩って本当にズルイ人だなぁ……。でも、そこがまた好きなんだけど……。

そんな乙女みたいなことを思いながら、私は仕事に戻った。