ふぅ、とつい息をついてしまった時、私の手にあたたかいものが触れ、ぐいっと前に引かれる。
「ひっ!?」
「じゃあ、ここは?」
「……あっ、それは気持ちいいです」
先輩に手を取られて戸惑いながらも、先輩の指が私の手をむにむにと揉むようにしていて、すごく気持ちがいいと思ってしまった。
「マジ? これ、便秘に効くらしいよ」
「はいっ!?」
「明日は快便、間違いねぇな! ははっ」
「そんなお下品な話、女子に向かってしないでくださいよっ」
「お下品って。別にいーじゃん。さきこ、気にしねぇだろ?」
「うっ……。きっ、気に……しません、けど」
「やっぱりな」
先輩はくすくすと笑いながら私の手を離し、椅子の背を抱えるようにしてくるくると回る。
そして、私は離れてしまった手にほっとした気持ちになりながら、ぶぅと口を尖らせた。
この通り、会話には全く色気なんてものはなくて、二人でいるというのに完全な友達のノリ。
……きっと、女友達じゃなくて男友達と同じように思われていると思う。
つまり、女とさえ見られていないのだ。
相手にされていないとは言っても、せめて女として見て欲しいと思うのは私のわがままなのだろうか。
……でも、高望みなんてしないから。ずっとこんな風に先輩の笑顔を近くで見たいと思うんだ。

