モノクロ

 

「何これ」

「えっ!? 先輩知らないんですか!? この前、梢ちゃんもぬいぐるみ持ってたでしょ?」

「梢?」

「はいっ! ふーくんですよ、大人気ゆるキャラのふーくん!」

「ふー……、あぁ、無駄な動きをするタヌキね」

「そうですそうです! ね、これ、すっごくよく描けてるでしょ!?」


梢ちゃんにあげようと上手く描けたふーくんを携帯で写メって、保存しておいたんだ。

機会があれば友達にも見せようと思って。

まさか、先輩に最初に見せることになるとは思わなかったけど。

先輩に早く誉めてほしくて、ずいっと携帯を先輩の顔に近付けると、「見えねぇし」と携帯を奪われた。

先輩は真剣に携帯の画面を見つめる。

誉めてもらえるよね?と期待して待っていたのに。


「……これが、ふーくんって?」

「どこから見てもそうでしょ? 上手く描けてますよね! 自信作なんです!」

「……。さきこって」

「へ?」

「超~っ絵心ねぇ!」

「!?」

「どう見ても、これ、ケチャップ付きのたこ焼きだろ!? くくくっ」

「たっ、たこ焼き!?」

「ちょー下手なんだけど!! ふーくんとか言われてもわっかんねぇし!」


バンバンとテーブルを叩きながら爆笑する先輩を呆然と見ることしかできない。