モノクロ

 

「もう、先輩! 子供みたいなことしないでください! 怒りますよ!」

「ちぇ。さきこのケチ!」

「ふん! 何とでも言ってください!」


私はやっとのことで先輩の手から梢ちゃんの手紙を取り返し、安堵しながら丁寧に鞄の中に仕舞った。

仕舞いながら視界の端に映るのは、「つまんねー」とぶつくさ言いながら、グラスに入った氷をくるくると回す先輩。

その姿は30歳を過ぎているようには見えないくらいかわいくて。

胸がきゅんっと締め付けられた。

……いちいちかわいいんだもん。そんな姿見せられたら、ドキドキしちゃうよ……。

私は高まる鼓動を抑えようと、先輩にバレないように深呼吸をする。

でも、自分で仕掛けたことだし、ちゃんと損ねた機嫌は直さなきゃ。

先輩にはやっぱり笑顔でいてほしいし。

そうだ、と私は鞄の中から携帯を取り出す。

そこには、先日無事に撮影を終えて佐山さんからもらった、羽根の形をした革のキーホルダーが揺れる。

自分の色に染めるためにいつでも身につけていたくて、ストラップとして携帯につけることにしたんだ。


「じゃあ、先輩にはいいものを見せてあげます! 自信作です!」

「……何」

「ほら、もう拗ねるの、やめてくださいっ! これ!」

「ん?」

「ねっ、かわいいでしょ~!」

「……」


携帯の画面に表示した画像を先輩の目の前にずいっと差し出す。

でも、先輩は眉間にシワをよせてただ首を捻るだけだ。