どうにもこうにも反応できずにいると、先輩がふっと笑って肩をすくめた。
「まったく、仕方ないな。じゃあ、ここは大人な俺が引くことにするか。ほら梢、遊んでおいで」
「……ん!」
先輩は梢ちゃんを自分の膝から下ろし、梢ちゃんの服を整えて頭をぽんぽんと撫でた。
「はぁ? ていうか、どっこが大人よ!? 隼人のくせに!」
「若菜、うっさいし」
若菜さんのセリフに先輩がべーっと舌を出す。
若菜さんも先輩のこと、名前で呼び捨てしてるんだ……。
……って、そこは気にするところじゃないのに、私ってば何考えてるの!?
若菜さんは佐山さんの奥さんなんだし、どこからどう見ても幸せそうな夫婦で、少なくとも“今は”そこに何かがあるわけじゃない。
先輩と若菜さんとの関係を深読みしないでおこう思った先から、考えちゃってるし!
考えるなっ、私!
とてとてと近寄ってきてくれる梢ちゃんを見て、梢ちゃんと遊んでこんな気持ちなんて忘れよう!と決心する。
「じゃあ、遠慮なくっ。梢ちゃん遊ぼっ? おいでっ」
「ん! あーちゃ!」
「~~っ、かわいい~っ!」
手を広げて私に抱きつこうとしてくれる梢ちゃんがかわいくて仕方なくて。
すぐにモヤモヤしていたことなんて忘れてしまった。
そのまま、私は自分まで子供に戻った気持ちで、梢ちゃんと遊んで過ごした。
意外と私って子供が好きなんだと、その日、新たな発見をした気分だった。

