「はーた!」
「う……っ」
「だよな~」
梢ちゃんが選んだのは先輩だった。
いつもはドキドキしてしまう先輩の嬉しそうな笑顔だけど、今はすごく憎らしいと思った。
くそぅ、負けた……。やっぱり年季の差か!?
確かに、ついさっき出逢ったばかりの私よりも、慣れ親しんだ先輩の方に行くに決まってる。
でも、私だって梢ちゃんと遊びたいのに!
少しくらい私にも遊ばせてくれたっていいじゃない。
どうにか梢ちゃんを私の元に……!
「あーちゃ!」
「えっ?」
「なかよし! なかよし!」
「!」
梢ちゃんが楽しそうに私と紀村先輩に向かって、手を上下に動かす。
梢ちゃんの思わぬ行動にぽかんとしてしまった。
「うん。こずが一番大人だな。お前ら、俺の娘のこと、見習えよ?」
「も~。梢ってば、ほんとにいい子なんだからっ!」
事の流れを客観的にじっくりと見ていたらしい佐山夫婦が、梢ちゃんの行動を誉める。
若菜さんに至っては、ハンカチを目尻に当てて、泣くフリまでしている。
「紀村と佐々木さんはガキカップルだな。ま、お似合いだけど」
「っ!?」
佐山さんが言い放った“カップル”という言葉に、私は言葉を失ってしまう。
しかも「お似合い」だなんて、シャレにならないんですってば……!

