笑顔になってくれた梢ちゃんに安心したけど、まだ私の心の中は先輩のことでいっぱいで。
近くで聞いた先輩の適度に低くて心地いい声。肩に残る先輩の腕の重さ。熱。
リアルに反芻してしまうと、またドキドキが襲ってくる。
私はそっと先輩のことを見るけど、先輩と目が合うことはなかった。
「梢、俺ともいないいないばぁする?」
「ん!」
先輩は私の存在なんかすっかり忘れてしまったかのように、完全に梢ちゃんにロックオンしていたから。
……そう、だよね。
今のは梢ちゃんを笑顔にするためにしただけで、先輩がしたくてしたわけじゃない。
だって、先輩は私のことを後輩としか思ってないんだから。
別に私のことを好きでこういう風に触れてくれるわけじゃない……。
「……。」
もやっと襲ってきた切ない気持ちに、小さく頭を振った。
ダメダメ。せっかく楽しい席なのに、こんな気持ちで過ごすのは嫌。
“かわいい後輩”として楽しく過ごそう。
余計なことは考えない! よし!

