「梢はおばちゃんより、はーたの方が好きだよなー?」
「お、ば?」
「そう。おばちゃん」
先輩は私を指差して、にこにこと梢ちゃんに笑いかける。
その指先を辿って、梢ちゃんの目線は私に。
「……!」
おばちゃんって、私のこと!?
だっ、ダメ! せっかく「あーちゃ」って呼んでくれたのに!
「先輩っ! 変な呼び方教えないでくださいよ! 覚えちゃったらどうするんですかっ? 私まだ、お姉ちゃんでいたいです!」
「はぁ? お姉ちゃんって、さすがに図々しくね? さきこ、アラサーだろ?」
「うっ! そっ、それなら先輩だって、おじちゃんじゃないですかっ」
「俺ははーただもんな? 梢~」
「はーたっ」
「梢ちゃん、私は“あーちゃ”だからねっ?」
「……あーちゃ?」
「うんうんうん! そうだよっ」
私は笑顔で必死に梢ちゃんに訴えかける。
「くっ。必死だな。おもしれぇ」
「はいっ!?」
くくくっと楽しそうに笑う先輩がそこにはいて。
くそ~っ! 絶対、先輩に遊ばれてる! 悔しい、悔しい!
……でも、嬉しい、だなんて。
これが惚れた弱みってやつなのかもしれない。

