流れる星を見つけたら

クリスマスプレゼントはタイピン。
小さいからコートのポケットに入ってる。

シルバーのブランド物。
仕事柄スーツなので、ネクタイは好みがあるからシンプルなタイピンにした。

でも、いつ渡そう。
あと二時間以内に渡したい。
帰り際に渡そうか

悩みながら、駐車場に入れてある彼の車に乗り込む。

そうか
家まで送ってもらって
降りる時渡せばいいじゃん。
ひとり納得ひとり完了。

うんうんと軽くうなずいてると、彼の顔が妙に真剣。

どうしたの?

「何かあった?」

「いや……別に」

別にって顔してないけど。
ネクタイを緩めて車のギアを入れ、夜の街を発進。

「念願のドライブだね」

「そうだね」
って私の顔も見ず軽く返事。

どうしたの?
急に事件でも入って呼び出された?
それは許さんぞ!

あと二時間のクリスマスイルミネーションを名残惜しくガラス越しに見て、彼の顔を覗く。

爽やか笑顔が消えてるよ。
どうした?

「明日も会えるよね」
彼は続けて休みだったはず。
私は仕事だけどさ。

「会えるよ。だから……」

だから?

「星を見に行こう」

急に言われて
車は私の家とは反対方向に走り出していた。