私はカバンから分厚い本を出し、ページを素早くめくりペンを出し手帳に星の動きを計算する……ふりをする。
カバーのかかっている本は、ブックオフで購入した古本。
意味はない。
俺様オーナーは楽しそうに私を見ている。
余裕だな。
私はこっそり鼻で笑ってから、真面目な声を出す。
「マザコンですね」
返事はない。
占わなくても
あんたのマザコンは近所じゃ有名だし。
「ネコが好きですか?よく拾って来てご両親を困らせませんでした?」
飲んでたコーヒーを吹き出して焦ってるし
おたくのおばさんが
よく近所でこぼしてたよ
『うちのマー君。また捨て猫拾ってきたのよー、私が怒ると泣くし困った子なの』
ってさ。
「野菜も食べて下さい」
野菜嫌いでしょう
高校の時
近所の八百屋でバイトしてたらおばさんが来て『うちのマー君野菜が嫌い』って言ってたはずだ。
そして最新情報を掴んでる私。
「お見合い断ったでしょう!相手のお嬢さんに『ママと仲良くできますか?』とか言って」
と、言うと
オーナーは頭を押さえて「うわーーー!」って叫びまくってた。
ごめんよ
個人情報流用。
「合格!!!」
俺様オーナーは
声を震わせ私に告げ
私は採用となった。



