大切な人。

そんな存在が私にもいれば
少しは気持ちも楽になるのだろうか

「運命の赤い糸ってあるのかな」
タルトのラスト一口を食べ
ふとそんな事を言うと

「ありますよ」と軽く言う。

「シェフもそうでした?」

「みんなそうですよ」

「私にもあるのかなー」
ふざけた感じで言うと
シェフは真面目に「すぐ近くにありますよ」と、言う。

すぐ近くに?

「しっかり繋がってる人がいます」

斜め目線の薄ら笑いが怖い。

すぐ近くに?
まさか……

「俺様マー君?」
ほどんど叫び声を出すと爆笑された。

「先輩は違う人と繋がってます」

違ったか
よかったー。

「俺様マー君は誰と繋がってるの?」

こっそり聞くと

「繋がってる相手は言えませんが、先輩の赤い糸は短いんです」

長さもあるのかっ?
恐るべき赤い糸っ!

「今、その先輩の赤い糸を思いっきり引っ張り、自分に巻きつけようとしている空気が流れてます」

その相手は誰か聞かないよ

そんな事ができるのは
多分
ゴズロリ衣装が似合う
あのお姉さんしかいないでしょう。

口に出すと恐ろしい事がありそうだから、黙ってます。