流れる星を見つけたら


それから
社長が支払いを済ませ
もう一度シェフにご挨拶してから店を出た。

涼しげな夜風が心地良い。

どこに行くとも言わず
夜の街を四人で歩く。

前に社長とお姉さん
そして後ろに私と刑事。

何でこんな奴と並んで歩いてるんだろ私。

前列は盛り上がってるなー。ふたりで何の会話してんだろ。
一歩前に出て耳を傾けると

ネコの肉球を語っていた。

社長が一生懸命語り
お姉さんは子供の話を聞く母のように、優しく合いの手を入れながら受け止める。

「占い師のオーラに捕らわれましたね」

邪悪刑事の言葉に
ただひたすらうなずく私。

でも
幸せそうだなマー君。
それならそれでいいか。

でもお姉さんを裏切ったら……命落すぜ!

「彼女の占いは本物で面白い」
縁無し眼鏡を押さえながら、そっと私を見下ろし言う男。

彼女のはって
いつも一言多い奴。

「占いなんて信じないんでしょう」
嫌味で聞くけど

「当たり前でしょう」
普通に流される。

そして逆に

「貴女も信じてないでしょう」と、言われて黙ってしまう。

占い師が黙っちゃいけないんだけどさ。